体を休ませても 疲れは取れない 「悪い疲れ」を軽減する休み方に共通するキーワードは「自発的」「動く」です。
効果的な休み方と聞くと、多くの人はゴロンと横になって体を休める姿を想像するかもしれません。しかし、それは本当の意味での休息にはなりません。
というのも、休むことの目的は「悪い疲れ」を取り、心身を良い状態に戻すことにあるからです。
休日に寝だめをしようとゴロゴロしていると結局、血流が滞 ったままで体が重い状態が続いてしまい、なおさら動くのが億劫になると書きました。
じつは、多くの人が思い描くゆっくり体を休ませるという休み方では、「悪い疲れ」は取れません。 大切なのは、自発的に動くこと。
運動はもちろん有効ですが、必ずしもスポーツをする必要はありません。自分で望んだ予定を楽しみながら取り組むと、それ自体が自発的に動くことに当てはまります。
自発的」に「動く」という視点から、あなたの毎日を振り返ってみてください。受動的に動かされていることの多さに気がつくのではないでしょうか。
悪い疲れを取る休み方を習慣化し、生活野の中に組み込むことで、あなたはすっきりとした毎日を送ることができるようになります。
健康とは、質のいい血液が 全身に流れている状態
私たち医師は、患者さんやメディアからの取材で「結局、健康ってどんな状態のことですか?」と聞かれることがあります。
定義の仕方は人それぞれですが、私はいつもこう答えています。「身体の細胞のすみずみまで、質のいい血液が流れている状態です」
最新の研究によると、私たちの身体には約37兆個の細胞があるとされています。
その細胞のすみずみまで質のいい血液がたっぷりと流れていれば、すべての臓器の機能がよくなるからです。
例えば、肝臓の機能が良くなれば、肌の くすみやたるみ、髪や爪のぱさつきなどの肉体的な疲れが改善し、腸の働きが活発になれば便秘も解消します。
なぜなら、血液には2つの大きな働きがあるからです。
1つは、全身の細胞に栄養や酸素、免疫細胞を送り届ける配達の仕事。
もう1つは、いらなくなった老廃物や排出された疲労物質を引き取る清掃回収の仕事。
この2つの仕事がスムーズに行われていると、当然、体調は良くなります。
もちろん、精神的なストレスによって発生した疲労物質も体の外に出してくれるので、「悪い疲れ」も軽減されます。
つまり、身体の細胞のすみずみまで質のいい血液が流れていれば、健康でいられるわけです。 そんな血液の流れを支えているのが、自律神経です。
というのも、血液が全身のすみずみの細胞まで届くのは、心臓がポンプのように働いて 勢いよく送り出してくれるからです。
しかし、それだけで手足の指先まで届きません。じつは血管が拡張したり、収縮したり することで、血液を体中に運んでいるのです。
命を維持するための基本的な働き、心臓を動かし、血管の拡張・収縮を行う筋肉を動かしているのが自律神経です。
そして、自律神経は「交感神経」と「副交感神経」という2種類の神経から構成されています。
交感神経は、車に例えるならアクセルです。交感神経の働きが上がると血管はきゅっと収縮し、血圧が上昇。
気分も高揚し、活動的でアグレッシブな気持ちになります。
一方、副交感神経は車に例えるならブレーキの働きをします。副交感神経の働きが上がると、血管は適度な状態で緩み、血圧は低下。
体はリラックスした状態になり、気分も穏やかに、ゆったり冷静な気持ちになります。
朝になると交感神経が優位になり始め、私たちは活動的になります。
そして午後になると、副交感神経が上がり始め、私たちはリラックスした状態になり、夜になると眠ります。
理想的なのは、交感神経と副交感神経がともに高いレベルで働き、なおかつ両方のバラ ンスが取れていること。
これが自律神経の整った状態で、身体の細胞のすみずみまで質のいい血液が流れていきます。
ところが、現代の日本人は細胞のすみずみまで質のいい血液を流すための鍵である自律 神経 のバランスを乱す環境で暮らしています。